Research Abstract |
小児期の骨代謝を解明する目的で,正常小児において,骨形成の指標であるcarboxyterminal propeptide of type I procollagen(PICP)と吸収の指標であるpyridinoline cross-linked telopeptide domain of type I collagen(ICTP)の血中濃度の年齢による変動を測定した.PICP,ICTPとも男女両性において,乳児期と思春期に著明な高値を示す2峰性のピークを示し,いずれの年齢においても成人値に比べて著明な高値を示した.また,その変動は日本人小児の年間身長増加率曲線と平行した動きを示した.従って,小児期には骨形成,吸収の両者が亢進した状態,すなわち高骨代謝回転状態にあると考えられた. 更に,成長ホルモン分泌不全性低身長児(GHD)において,成長ホルモン(GH)投与前後でのPICP,ICTPの変動を経時的に測定した.GH投与前の値はいずれも正常コントロールと比べて低値を示した.PICP,ICTPともGH投与にともない投与1ヶ月後には有意に上昇し以後高値を示した.従って,GHDでは骨形成,吸収の両者が抑制された低骨代謝回転状態にあり,GH投与により正常化されると考えられた.また,GH投与1ヶ月後のPICPの上昇率とGH投与1年間の年間身長増加は有意な正の相関を示した.従って,PICPはGH長期投与における身長増加作用を早期に予測する指標になり得ると考えられた. 以上より,血中PICP,ICTP濃度の測定は小児期の骨代謝を解明する上でたいへん有用であると考えられる.
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