Research Abstract |
腫瘍の放射線感受性を予測するために,照射後極早期の照射効果に着目して研究を行った.アポトーシスの出現頻度に注目し,照射効果との関連とさらに癌遺伝子の発現の変化について検討を加えた.使用した細胞は当科で樹立継代している肺癌細胞株GLL-1細胞とGLL-1細胞から作成した放射線抵抗性株GLL-1Rである. 方法はGLL-1,GLL-1Rをin vitroで培養し対数増殖期にあるものを用いた.シャーレに細胞をうえ5Gy,10Gyの照射を行いコロニー形成法で細胞生残率を求めた.さらに照射後6時間後に細胞からDNAを抽出しDNAの断片化を検索した.アポトーシスの出現頻度は照射6時間後に細胞を固定しApopTag(Oncor)染色でアポトーシス細胞を染色し測定した.癌遺伝子の発現はp53の発現を経時的に検討し,アポトーシスとの関連を検討した.結果はGLL-1の放射線感受性はDo 1.09 n 1.57であり,GLL-1RはDo 1.45 n 1.98とより放射線抵抗性であった.GLL-1は5Gy,10Gy照射6時間後いずれもDNA断片化が認められアポトーシスを引起していたが,GLL-1RではDNA断片化は認められなかった.ApopTag陽性率はGLL-1で12%(5Gy),14%(10Gy)であったがGLL-1Rでは1%であった.p53発現はGLL-1で照射後6時間後,著明な発現の増加が認められたが,GLL-1Rではほとんど変化が認められなかった.以上より放射線感受性株のGLL-1ではアポトーシスが認められ、それに伴いp53の発現が亢進したが,放射線抵抗性株のGLL-1Rではアポトーシスが認められず.p53の発現に変化が見られず,照射効果の相違がアポトーシスと関連しており,さらにp53がアポトーシスに強く関与していると考えられた.
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