Project/Area Number |
06770847
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hematology
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川口 辰哉 熊本大学, 医学部, 助手 (50244116)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 発作性夜間血色素尿症 / 血栓症 / 溶血性貧血 / 複合糖質 / 血小板 |
Research Abstract |
発作性夜間血色素尿症(PNH)の異常溶血に関連し、我々はグリセロ糖脂質であるGPIアンカーやスフィンゴ糖脂質であるガングリオシドなどの膜糖脂質発現異常を明らかにしてきた。いずれも糖転移異常による糖鎖合成不全がその分子基盤を形成しており、PNH膜異常を広く膜複合糖質発現と捉えうると考えられた。そこで残された主要膜複合糖質である糖蛋白質糖鎖の発現異常を検討する必要がある。本研究は、致死的合併症である血栓症とも関連して、血小板膜糖蛋白質糖鎖の発現異常をレクチン結合性の違いにより検出することを目的とした。 対象:PNH5症例を対象とした。フローサイトメトリーにより全症例に20〜98%の異常血小板が検出された。 レクチン結合性の比較検討:血小板膜画分を遠心分離後、界面活性剤にて可溶化し膜蛋白抽出液とした。マンノース結合性のレンチルレクチン(LCA)、コンカナバリン(ConA)、ガラクトース結合性のヒママメレクチン(RCA120)、N-アセチルグルコサミン結合性の小麦胚芽レクチン(WGA)の4種類のレクチンを用いた。各レクチンビーズと膜蛋白抽出液とを反応させ、レクチン結合膜蛋白を分離しSDS-PAGEで解析した。その結果、WGAレクチン結合性では、健常人で反応しPNH全症例で反応性に乏しい約40KDaの蛋白質を見いだした。一方、LCA,ConA,RCA120レクチンへの結合性には明らかな差は認めなかった。40KDaの膜蛋白は既知膜糖蛋白の分子量と異なり、また抗GPIIb/IIIa抗体や抗GPIb抗体とも反応しないことから、未知糖蛋白の可能性が考えられた。 以上より、GPIアンカー(グリセロ糖脂質)やガングリオシド(スフィンゴ糖脂質)に加えて膜糖蛋白糖鎖の発現異常が認められ、PNHを血球膜複合糖質発現異常症として捉えうることが示された。現在、40kDa蛋白の精製、構造解析を進めている。
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