エリスロポエチン受容体の構造とアポトーシス抑制シグナルに関与する癌遺伝子との関係
Project/Area Number |
06770852
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hematology
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
清水 律子 自治医科大学, 医学部, 助手 (40226262)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | エリスロポエチン受容体 / アポトーシス / c-jun |
Research Abstract |
ヒトエリスロポエチン受容体完全長型(EpoR-F)、細胞内領域欠損型(EpoR-T)をBa/F3細胞に導入し、EpoR-Fのみ(Ba/F3-F)およびその両者を発現している(Ba/F3-FT)トランスフェクタントを作製した結果、どちらの受容体も増殖シグナルを伝達することはできるが、Ba/F3-FTは低濃度のEpo存在下では細胞のアポトーシスを阻止しにくいことがわかった。このトランスフェクタントを用いて、Epoによる増殖刺激時の癌遺伝子の発現について比較検討しEpoR構造とアポトーシスに関与する癌遺伝子との関係について解析した。 (1)Ba/F3-F、Ba/F3-FTをEpo(1U/ml)刺激後、AGPC法により0から180分まで経時的にRNAを抽出し、c-myc,c-fos,c-jun,junB遺伝子の発現を解析した。Epo刺激によりどちらのトランスフェクタントもc-myc、junB,c-fos遺伝子の一過性発現を認めた。c-jun遺伝子はBa/F3-Fでは一過性に発現したが、Ba/F3-FTでは観察期間中全く認めなかった。(2)Ba/F3-F、Ba/F3-FTをEpo(1U/ml)刺激後、経時的にDNAを抽出しDNAの断片化を解析した。IL-3除去後Epoを添加した場合、Ba/F3-FTではIL-3除去により誘導されたアポトーシスを阻止しにくいことが分かった(3)Ba/F3-FTにc-jun遺伝子を導入し、トランスフェクタント(Ba/F3-FTJ)を作成した。Ba/F3-FTJではEpo添加によりアポトーシスを阻止し得た。 Ba/F3-とBa/F3-FTではEpoに対する反応性に違いを認めないことより、c-jun遺伝子の発現はEpoRを介する増殖には関与しないと考えられる。一方Ba/F3-FTではEpo存在下でもアポトーシスを阻止しえない。このことよりEpoRを介するシグナル伝達には増殖シグナル伝達機構とアポトーシス抑制シグナル伝達気候が存在し、c-jun遺伝子の発現は増殖シグナル伝達よりはむしろアポトーシス抑制シグナル伝達に重要であり、その発現の有無がEpo存在下にアポトーシスを抑制できるか否かを決定している可能性が考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
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