Research Abstract |
雑種成犬(15-18kg)に右室迅速ペーシング(250-270/分)を施すことにより作製した低拍出量タイプのうっ血性心不全モデル犬(DHF群,n=5)では、血漿レニン活性は有意に上昇した(0.8±0.2to2.6±0.4ng/ml/hr;p<0.05)。左腎摘および右腎動脈分枝部分結紮により作製した慢性腎不全モデル犬(RF群,n=5)では、血漿レニン活性は有意に変化しなかった(1.0±0.4to1.2±0.4ng/ml/hr)。迅速ペーシングと部分腎摘の両方を施した腎機能障害を伴う心不全モデル犬(DHF+RF群,n=5)では、血漿レニン活性の顕著な上昇がみられた(0.6±0.2to4.3±0.7ng/ml/hr;p<0.01;n=5)。健常犬(C群,n=5)の血漿レニン活性は0.7±0.3ng/ml/hr(n=5)であった。以上の4群より麻酔下で心筋、大動脈、腎、肝、および腎組織を採取し、AGPC法によりRNAを抽出し、ヒトangiotensin II type1受容体(AT1受容体)のprimerを用いて、RT-PCR法により各疾患群間、およびそれぞれの臓器におけるAT1受容体mRNA発現量を比較検討した。しかし、血漿レニン活性が正常なC群、RF群、および血漿レニン活性の亢進したCHF群、CHF+RF群のいずれの群においても心、腎、肝、および血管系のあいだにAT1受容体mRNA発現量の明らかな差はみられず、さらに4群の対応する臓器における発現量にも差はみられなかった。しかし、今回行ったRT-PCR法は厳密な定量法に問題があり、この方法では検索できない程度の、AT1受容体mRNA発現量の差が各群、および臓器の間で生じている可能性は否定できないと考えられた。
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