Research Abstract |
我々が樹立したヌードマウス継代ヒト大腸癌株3系(TK3,4,9)の小腫瘍片をヌードマウス盲腸に縫着し、6週後に犠牲死せしめ、原発巣の腫瘍増殖と肝転移の有無を評価した。TNP-470は腫瘍移植10日後より隔日に皮下投与した。盲腸に移植した原発巣の実測腫瘍重量は両群間で差異を認めなかった(対照群:0.45±0.29g,治療群:0.49±0.27g)が、TNP-470は用量依存性に大腸癌肝転移を抑制した(対照群:22/32,TNP-470 20mg/kg,TNP-470 30mg/kg:3/10)。肝転移結節数に関しても用量依存性に転移抑制効果を認めた(対照群:5.6±3.7,TNP-470,20mg/kg投与群:4.0±3.5,TNP-470,30mg/kg投与群:2.0)。30mg/kg投与群においてのみ体重増加を認めなかったが、重篤な副作用は認めなかった。 同様のモデルを使い、TNP-470とマイトマイシンCの大腸癌増殖・転移に関する効果を検討した。マイトマイシンC(2mg/kg)投与群ではTNP-470投与群、対照群に比較し、有意に原発巣増殖抑制効果を認めた。しかし、TNP-470投与群では対照群に比較し有意に肝転移抑制効果を認めたが、マイトマイシンC投与群では有意に肝転移抑制効果を認めなかった。 以上の結果より、血管新生阻害物質TNP-470は、その効果、作用機序が従来の抗癌剤とは全く事なる、大腸癌肝転移抑制効果を有する薬剤であることが判明した。
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