Research Abstract |
以下のシステム構成により人工心肺の自動制御実験をおこなった。 コンピューター(NEC PC-9801RX),制御用リレーボックス、圧センサー(動脈圧、中心静脈圧、送血回路内圧),流量センサー,静脈リザバ-用重量センサー,電磁弁式静脈回路側ラインオクルーダー,ポンプ流量コントローラー 制御用ソフトウェアはMS-DOS ver.6.2およびMS-Windows ver.3.1を基本としてC言語を用いてアルゴリズムを作成した。これはデーター入力メニュー,制御メニュー,緊急退避メニューの3部門からなり、制御メニューは開始時制御、定常流制御、終了時制御の3モードから構成されている。制御用ソフトウェアを立ち上げるとデーター入力メニューがスタートし各センサーからの初期データーおよび経時的データーの入力が開始される。人工心肺開始のスイッチをオンにすると制御メニューに自動的に移行し入力されてくる各センサーからのデーターをもとに自動制御操作(開始時制御)が開始される。主として動脈圧,中心静脈圧,静脈リザバ-重量の数値によって制御条件を分類しそれぞれの状態にしたがって電磁弁式静脈回路側ラインオクルーダーとポンプ流量のコントロールをおこなう。人工心肺への移行が無事に成功すれば定常流制御モードに自動的に移行し設定された目標灌流量を維持する。人工心肺を終了する場合は終了時制御モードに変更してウィーニング開始スイッチをオンにすることにより血流量を徐々に減少させていき十分な血圧がえられれば人工心肺を完全に中止する。突然の脱血不良や回路閉塞などの緊急時には緊急退避メニューが作動しポンプ流量を安全なレベルまで低下させる。模擬回路による灌流実験を行った後、動物(雑種成犬3頭、平均体重16.5kg)による自動制御灌流実験(平均灌流時間61分)を行った。いずれの実験においても手動操作によるのと同等の流量が得られ,安定した人工心肺を遂行しえた。しかしながら人工心肺の完全な制御を行い無人運転を可能とするためには静脈リザバ-のレベルの適正な維持,薬物投与の判断,輸血の必要性の判断,温度制御,心筋保護液注入,音声命令による制御,特殊な操作(一時的な低流量,エア-抜きのために静脈圧を上げる)など解決しなければならない問題が多数残されている。
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