Project/Area Number |
06771038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Thoracic surgery
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柿崎 徹 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (00224345)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 人工赤血球 / 人工酸素運搬体 / 酸素運搬能 / 血行動態 |
Research Abstract |
最近我々は早稲田大学応用化学科の土田英俊教授、西山宏之教授らと共同して、すべて人工の材料から合成された新しい型の全合成系の人工酸素運搬体を開発した。この人工酸素運搬体は酸素運搬能を有するヘム誘導体lipidhemeでトリグリセリドを乳化し油滴小球microsphereをlipidhemeで被覆させることにより合成されたものである(lipidheme-microsphere:LH-M)。本研究で使用されたLH-Mの懸濁液は、これまでのin vitroの実験から、粒径は約100nm、溶液粘度は1.2cP、酸素親和性はP50が41Torr、Hirr係数が、1.0であることが確認された。今回我々は、LH-Ma臨床応用に向けての第一段階として、体重約8kgのビ-グル犬を用い、その生体内における酸素運搬能、血行動態および諸臓器におよぼす影響等について検討した。 体重約8kgのピ-グル犬5頭を用い、室内気調節呼吸下に30ml/kgの脱血交換実験を行った。 1.脱血30分後の心拍出量は脱血前の30%まで減少したが、LH-Mを投与するとただちに脱血前の55%まで増加し、LH-M投与後5時間でも脱血前の60%が維持された。 2.LH-M投与後5時間までにLH-Mにより組織に運搬された酸素量を経時的に算出すると、17.3ml/minから20.7ml/minで、これは組織に運搬された全酸素量の13%から17%に相当した。 3.LH-M投与後5時間までに組織で消費された酸素量のうち、LH-Mから消費されたものを経時的に算出すると、5.3ml/minから7.9ml/minで、これは組織で消費された全酸素量の15%から20%に相当した。 LH-Mの血中滞留時間(半減期)は約12時間であった。 以上のことからLH-Mは出血性ショックの状態にある生体内においても酸素運搬能をもつことが確認された。諸臓器におよぼす影響については現在病理組織学的に検討中である。
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