Research Abstract |
Sprague-Dawleyラットの右大脳基底核に定位的にC6ラットグリオーマ細胞を注入接種して脳腫瘍モデルを作成した.移植後10日目にネンブタール麻酔下に右内頚動脈から腫瘍壊死因子(10,000単位)を注入し,4,8,24,72時間目に脳血流量を定量して無治療群と比較し,病理学的検討も併せて行った.脳血流量の測定は吸入麻酔下で大腿動静脈にカテーテルを挿入し,完全覚醒させた後に^<14>C-iodoantipyrineを30秒間で静脈内投与し,経時的に動脈採血を行い,RI注入終了時に断頭して摘出脳を凍結し,クライオスタットで冠状断切片を作成した.^<14>C-標準線源とともにX線フィルムに密着させ,オートラジオグラムを作成し,デンシトメーターで計測した黒化度から局所アイソトープ濃度を求め,^<14>C血中濃度と局所アイソトープ濃度から局所脳血流量を算出した.無治療群(n=5)では腫瘍中心部の血流量は60.6±13.9ml/100ml/min(mean±SD),辺縁部が72.5±10.2ml/100ml/minで,いずれも患側(122.7±18.7ml/100ml/min)および健側灰白質(135.7±20.2ml/100ml/min)と比較して低値であった(p<0.01).腫瘍中心部では血流量が動注4および8時間後に27.4±12.8ml/100ml/min(n=4),30.7±8.2ml/100ml/min(n=4)と有意に低下した(p<0.01).24時間後には組織学的に壊死が確認され,72時間後に血流量は15.7±11.1ml/100ml/min(n=3)まで低下して壊死域が拡大した.辺縁部でも血流量は動注4時間後に58.5±5.0ml/100ml/minと有意に減少し(p<0.05),8,24時間後にしだいに低下して72時間後には45.0±11.0ml/100ml/minまで減少した.一方,患側および健側灰白質では血流量に有意な変化はなく,腫瘍組織における選択的な血流低下が明らかとなり,腫瘍および正常組織の腫瘍壊死因子に対する感受性の差異が示された.
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