Research Abstract |
低体温施行後re-warming時の急性脳腫脹のメカニズム解明を目的として障害脳の状態を比較検討した。300〜320gの雄Wistar ratを用いSmithのモデルにて20分間の一過性前脳虚血負荷を施行。A群、虚血中及び虚血後脳温が37℃。B群、虚血中及び虚血後脳温が32℃。C群、虚血中脳温が32℃、虚血後脳温を10分間で37℃へre-warming。D群、虚血中脳温32℃、虚血後脳温を60分間で37℃へre-warming。の4群間で10分毎に、脳血流、ICP、adenosineとその代謝産物、Dopamineとその代謝産物を測定。【結果】血流量は、虚血と同時に低下したが、再灌流と同時に一過性の上昇を認めた後、再度control levelよりも低下した。A群と比較し、B,C,D群では、再灌流時の血流の再低下が抑制される傾向にあった。B群とC及びD群間、C群とD群間での統計学的検討は施行し得ていない。ICPは、虚血負荷と同時に低下したが、再灌流と同時に上昇した。A群と比較し、B,C,D群では、再灌流後のICP上昇が抑制される傾向にあった。B群とC及びD群間、C群のD群間での統計学的検討は施行し得ていない。虚血中の低温は、adenosineの放出には影響を及ぼさなかったが、adenosineの代謝を抑制し、またDopamineの放出を抑制した。再灌流時の低温は、adenosineの代謝を抑制し細胞外液中のadenosine濃度を高い値に維持する効果があったが、Dopamine消失には影響を及ぼさなかった。Dopamine代謝産物は、B,C,D,群で再灌流後に上昇し、3群間で有意差はなかった。adenosineは、様々な脳保護効果を示すことが知られている。低脳温下でのadenosine代謝の変化が、虚血後の血流及びICPの変化に関与している可能性が示唆された。
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