Research Abstract |
1.クモ膜下出血(SAH)モデルとタルク大槽内注入(タルク)モデルの,末梢血液の白血球数およびその分画の経時的変動を検討した。タルクモデルでは,処置前が8211/mm^3,1日目に20967/mm^3と著明な増加を示し,2日目に14783/mm^3と改善し,7日目に8633/mm^3と正常化した。SAHモデルでもこの白血球数の経時変化は,同様の経過を示した。白血球の各分画の経時変化では,両群共に1日目から2日目の白血球増多は主として好中球増加により,リンパ球数は殆ど変動を示さなかった。興味深いことに単球は,1日目から急上昇し,2日目にピークとなりそして7日目も処置前の約5倍の高値を維持していた。このように貧食系細胞である好中球・単球に大きな変動が両群共通して起こることは,両モデルでの生体防御機構としての局所貧食処理反応の重要性を示唆するものといえる。 2.タンクモデルに対するSODの効果からO^-_2・の病理発生への関与を検討した。脳血管撮影上,未治療群で各々注入後3,7日目に処置前の脳底動脈径の63%そして61%を示す脳底動脈径の狭小化が認められた。SOD治療群で注入3日目に処置前の81%と有意な収縮率の軽減を示し,この傾向は注入後7日目でも示した。病理学的検討では、両群の何れも脳底動脈周囲への多数のタルク粒子とこれらを貧食する好中球・マクロファージが観察された。しかし,収縮脳底動脈壁自体の変化は,未治療群で注入3日目から内皮細胞剥離,内弾性板の彎曲蛇行,内皮細胞・平滑筋細胞の空胞変性などが観察されたのに対し,SOD治療群では,こうした諸変化が著しく軽減されていた。生体内におけるタルクの処理は,マクロファージ・好中球による異物貧食反応が主であり,この反応で産生されたO^-_2・が,脳血管攣縮類似のの血管収縮の病理発生とこれに伴う収縮血管壁の病理形態学的変化に関与している可能性が考えられた。
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