Research Abstract |
本年度は,不動により生じる関節拘縮について,関係する筋肉コラーゲンの変化をコラーゲン線維の可溶性を中心に検討した.ラット足関節を1週及び3週間固定後,ヒラメ筋コラーゲン分子のコラーゲン量,可溶性の変化を測定し以下の結果を得た. 1.コラーゲン量:ヒドロキシプロリン測定により得られた筋湿重量当たりのコラーゲン量は,1週群では固定側と無固定側間に有意差は無かったが,3週群については,固定側が有意に増加していた. 2.塩可溶性コラーゲン量:全コラーゲンに対する塩可溶性コラーゲンの割合は,1週群では固定側と無固定側間に有意差は無かったが,3週群については,固定側が有意に減少していた. 3.酸可溶性コラーゲン量:全コラーゲンに対する酸可溶性コラーゲンの割合は,1週群,3週群共に固定側と無固定側間に有意差は無かった. 4.不溶性コラーゲン量:全コラーゲンに対する不溶性コラーゲンの割合は,1週群,3週群共に固定側と無固定側間に有意差は無かった. 不溶性コラーゲンのペプシン可溶化率:不溶性コラーゲンをペプシン処理し,可溶化したコラーゲンの割合は,1週群では固定側と無固定側間に有意差は無かったが,3週群については,固定側が無固定側に比べ有意に減少していた. 以上の可溶性の変化に関する結果から,1週程度の関節固定では関係する筋肉コラーゲンに影響は少ないが,固定が3週間程度まで及ぶと筋肉コラーゲンに変化が生じ始めるものと考えられる.可溶性の変化から,コラーゲン分子の架橋結合の変化を推察すると,3週間程度の固定期間から分子内架橋結合に変化を生じ,新たな分子間架橋結合の生成を推察することができる.
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