Project/Area Number |
06771146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Orthopaedic surgery
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井口 茂 長崎大学, 医療技術短期大学部, 助手 (70184778)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | EMG / 同時収縮 / 相反的筋活動 |
Research Abstract |
対象と方法 対象は、健常成人10名(男性5名・女性5名)と脳血管障害による片麻痺患者5名(男性3名・女性1名)である。健常成人の年齢は、平均20.2±1.4歳、片麻痺患者は、平均47.8±13.2歳である。片麻痺患者の麻痺側は、右麻痺2名、左麻痺3名であった。 方法は、裸足自由歩行とし、計測は健常成人においては右側前脛骨筋(以下、TA)と下腿三頭筋(以下、TS)に表面電極を貼付し、日本光電社製マルチテレメーターにて筋活動を導出した。また、同時にアニマ社製大型床反力計にて垂直分力・前後分力波形から歩行時の制動期、駆動期、遊脚期を求めた。時間的要素は右足を基準とした1ストライドを100%とし10ストライドを抽出した。片麻痺患者においては、麻痺側に表面電極を貼付し、同様の条件で行った。導出した筋活動波形は、日本電気三栄社製omni ace RT3100にて出力し、時定数0.1、取り込み周期10msで積分処理を行い、歩行時の各筋の最大積分値を100%とし、前脛骨筋と下腿三頭筋の活動比、以下TA・TS比波形を表した。さらに、二つの筋の相関図波形を表し、定性的分析を加えた。 結果 TA・TS比波形は、健常成人においてHeel Contact直後大きな値を示し、その後低下し、Foot FlatからHeel offの間にかけて1より減少した。そして、Heel offの直後に最も小さい値を示し、遊脚相の初期に1より大きくなり上昇する波形を示した。片麻痺患者のTA・TS比波形は、症例の麻痺の程度によって様々であり、歩行周期の全般にわたって1に近い値を示すものや、立脚期に1に近い値を呈し、立脚後期からTAの優位性を示す1以上の値を呈するものなどいた。 相関図については、健常成人において歩行周期全体の波形は双曲線様の波形を呈した。この波形から健常成人のTAとTSの筋活動は、立脚期初期には、TAの優位な筋活動を示し、徐々にTS優位の筋活動様式へと移行している。その際、TAの低下は、TSの活動を維持した状態でのものであり、相反神経メカニズムを表しているものと考えられた。また、遊脚期では制動期、駆動期の筋活動の間に位置し、その活動様式は個体差が大きいものと思われた。 片麻痺患者の相関図では、TA・TS比波形と同様に症例個々によって様々な波形を呈していた。しかし、健常成人にみられた一定の筋収縮を維持しての優位性はみられず、立脚初期においてTA、TSとも上昇していく波形を呈したものが多かった。このことは、片麻痺患者の接踵時における筋のコントロールの欠如とTSの痙性によるものと考えられた。 このように、歩行時の筋活動を相関図で表すことは、拮抗筋同士の微細な筋活動様式を伺え、中枢神経疾患の歩行分析においても、その様式を分析するために有用と思われた。今後、定量的分析につなげていきたい。
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