Research Abstract |
・われわれは,手術中の分離換気を行った患者の肺静脈血流動態を検討し,低酸素性肺血管収縮による血流のシフトが肺静脈の血流動態に影響を及ぼすことを報告してきた.観察したこれらの変化が交感神経ブロックによる影響を受けるのかどうかを検討することを目的に以下の3条件かでの検討を行った.1.仰臥位で両肺換気2.仰臥位で片肺換気10分後(手術側を虚脱)3.片肺換気を行ったままで側臥位に体位変換を行った10分後に検討を行った.対象は口頭で同意を得た患者14名を対象とし,1名は単触子が挿入できず除外した.全身麻酔群6名と硬膜外麻酔群7名の2群に分け検討を行った.患者はベクロニウム0.2mg/kg,ドルミカム5mg,フェンタネスト200ugにて全身麻酔の導入,気管内挿管を行った.硬膜外麻酔群の患者は麻酔導入時に1%キシロカイン5mlを硬膜外に投与した。気管内挿管後,スワンガンツカテーテル,食道単触子をを挿入した硬膜外麻酔群では検討を行うまでの硬膜外麻酔による血圧低下は輸液により対処した. ・低酸素性血管収縮では両群による差は認められなかった。換気側では肺静脈の収縮期,最大流速は全身麻酔群では39→44cm/sec,拡張期の最大流速は31→37cm/secに増加した.時間流速積分値,肺静脈径はそれぞれ24→28cm,7→10mmに増加した.硬膜外麻酔群では収縮期の最大流速は33→45cm/sec,拡張期の最大流速は35→42cm/secに増加した.時間流速積分値,肺静脈径はそれぞれ25→30cm,7→10mmに増加した. ・側臥位にすると全身麻酔群では肺静脈の収収縮期の最大流速は44→53cm/secに増加し,時間流速積分値は28→30cm増加した.硬膜外麻酔群で収縮期の最大流速はむしろ45→43cm/secへと低下する傾向を示したが,時間流速積分値には差は認められなかった.この差異を肺静脈径の変化で説明はできなかった.
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