Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
軽度低体温療法施行症例において,近赤外線分光法(NIRS:Near infrared spectroscopy)による測定を行い,低体温時の脳血行動態の変化を調べた.患者の前頭部にNIRSモニタ装置(NIRO-500,浜松ホトニクス社製)のプローブを装着し,軽度低体温療法施行時の酸化ヘモグロビン(oxy Hb),還元ヘモグロビン(deoxy Hb),総ヘモグロビン(tHb),および酸化型チトクローム(Cyt)の変化を測定した.その結果,体温とoxy HbおよびtHbとの間に正の相関関係がみられたが,体温とdeoxy Hbとの間には相関がみられなかった.Cytはほとんど変化しなかった.各症例の体温変化の過程において得られた値から体温変化(ΔBT)とtHb変化(ΔtHb)の関係を求めると,両者の間に強い正の相関関係がみられた(ΔtHb=4.2×ΔBT+3.6,r^2=0.72).また,頭蓋内圧(ICP)を同時に測定し得た症例で,ΔBTとICP変化(ΔICP)との関係,およびΔtHBとΔICPとの関係を求めると,それぞれ,ΔtHB=1.7×ΔBT+4.8(r^2=0.31),ΔICP=0.34×ΔtHb+3.4(r^2=0.37)であった.低体温療法時の内頸動脈血酸素飽和度(SjvO_2)の変化には一定の傾向はみられなかった. 低体温療法の脳保護作用の一つとして,従来の治療法に抵抗性のICP亢進症例に対する減圧作用があげられている.今回みられたΔBTとΔtHbの関係から,低体温によりtHb,すなわち脳血液量(CBV)が減少してICPが低下するという機序の存在が考えられる. 今後さらに症例を追加し,NIRSとICP,SjvO_2の変化を比較し,NIRSのモニタとしての有用性や低体温の作用機序について検討する.
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