Research Abstract |
不育症(特に抗リン脂質抗体陽性反復流死産)病態とカルパインとの因果関係を解明するために、抗カルパイン活性部位特異的抗体を用いて、同患者の血小板におけるカルパイン動態を解析した。 1.ELISA法による自己抗体の測定 反復流死産の既往をもつ患者血清を用いて6種類のリン脂質(PA,PS,PI,PG,PE,CL)に対する自己抗体の検出を行った。 2.カラムによる血清の分離 抗リン脂質抗体高力価の血清を、アフィニティーカラム、ハイドロキシアパタイトカラムにより高度に精製した。 3.血小板の精製及び材料の生成 反復流産患者(抗リン脂質抗体陽性及び陰性)ならびに健常女性から、遠心法により血小板を採取し、高度に精製した抗リン脂質抗体高力価の血清と反応させた。 4.ウエスタンブロッティング法による測定 上記実験で反応させた材料を用いて、ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、ニトロセルローズ膜に電気的転写してエンザイムイムノアッセイを行い、カルパインの抗原性、及び活性化の状態を検索した。 その結果、抗リン脂質抗体陽性反復流産患者の血小板のカルパインが活性化されていることが認められた。 5.組織におけるカルパインの解析 流死産(母体血清中抗リン脂質抗体陽性及び陰性)と、対照として人工妊娠中絶及び正常分娩により得られた絨毛組織ならびに胎盤を免疫組織化学的染色しカルパイン動態の解析を現在検討中である。
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