Research Abstract |
モルモットをヒト生殖生理研究モデルとして活用を図る目的で,卵子採取効率化の検討を行なった。体重700〜900gのFub:Hartley系モルモットのメスを実験に供した。性周期を膣の開口と膣スメア-でモニターし,膣スメア-内に白血球の大量出現を確認した日を性周期1日目とした。文献的にも予備実験からも性腺刺激ホルモンでは排卵卵子数の増加が認められなかったため,卵巣内卵子の体外成熟による卵子採取を検討した。性周期2日目から1日おきに14日まで2匹から5匹のモルモットより卵巣を摘出し,培養液(20%牛胎仔血清添加TCM199)内で25G注射針で卵胞を破ることにより卵胞内卵子を採取した。卵丘細胞が多く付着した卵子を新鮮な培地に移した後,24時間37℃,5%CO_2,95%空気の気相下で培養した。培養後,卵丘細胞を細いピペットで機械的に除去し,卵子の状態を記録した。第一極体放出卵子を「成熟卵子」と判定した。その結果,採取卵子数は,性周期4日目より増加し(平均±標準誤差,19.7±3.1,n=3),8日目でピークに達した後(27.4±2.6,n=5),12日目に若干減少し(16.8±6.2,n=4),その後再び増加した(28.0±4.6,n=3)。しかし,第一極体を放出する卵子の数はほぼ全期間を通じて一定で,1匹当り8〜10個であった。モルモットでは,正常性周期の全期間に渡って相当数の卵胞を有しており,しかもそれら一部は極体放出過程を体外で完了できる。このことは家畜と同様,卵巣内卵子を活用する可能性を示唆している。ただし,ヒトと同じ完全性周期を営むとはいえ,モルモットの卵子発育・成熟過程,特に排卵卵子数決定機構にはかなりの種差があると思われる。
|