Project/Area Number |
06771453
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Otorhinolaryngology
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
柳 清 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60230257)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 内視鏡下鼻内手術 / 上顎洞粘膜 / 慢性副鼻腔炎 / 副鼻腔気管支症候群 |
Research Abstract |
内視鏡下鼻内手術における上顎洞病変を、開放した膜様部からの所見で分類すると次のように分けることができた。すなわち上顎洞粘膜の厚さを血管の透見度と粘膜表面の状態から(1)軽度(2)中等度(3)高度に分類し、さらに上顎洞の内容物別に(1)貯留液(2)ポリ-プ(3)嚢胞が存在しているか否かを分類した。貯留液は高度病変ほど高率に存在し、ポリ-プや嚢胞は軽度及び中等度病変に高率に存在していた。臨床症状の予後は粘膜が厚いほど、また貯留液が存在するほど不良であった。しかし他覚的所見の予後不良例は、術中所見の病態よりもむしろ喘息、アレルギーなどの全身疾患の有無、洞の発育程度、手術操作、術後治療などの因子がより多く関与していた。また副鼻腔粘膜の処置は膿汁やポリ-プなどの病的粘膜は取り除くが篩骨洞天蓋、眼窩内側壁、上顎洞、蝶形骨洞などのいわゆる限界壁の粘膜は多少病的であっても保存すべきとの結果を得た。それはこれらの粘膜を取り除き骨壁を露出させると骨露出部は瘢痕組織、病的な肉芽、骨組織の増殖が起こり、正常な粘膜は再生されないからである。さらに粘膜の剥離が広範囲に及ぶと副鼻腔の空洞は維持されず、洞腔は充塞する。よって我々は内視鏡下鼻内手術の際、多少病的であっても限界壁の粘膜は保存し、副鼻腔の生理的な状態を可及的に保つようにすべきとの結論を得た。鼻副鼻腔の機能の一つとして吸気の加温、加湿、除塵という下気道を保護する役割がる。副鼻腔気管支症候群及び鼻茸(慢性副鼻腔炎)を伴う喘息はこの鼻副鼻腔機能を考える上で興味深い疾患である。内視鏡下鼻内手術を施行し、副鼻腔を空洞性に治癒させることでこれらの疾患の手術成績が向上している。今後は手術により下気道疾患が改善することを自覚的、他覚的に証明して行きたい。
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