Research Abstract |
1.実験緑内障サル眼において,コンピューター画像解析を用いた視神経乳頭の立体計測と走査型レーザー検眼鏡検査を行い,視神経乳頭陥凹及び網膜神経線維層の経時的な変化を客観的かつ量的に解析し,更に病理組織学的検討を行った. 2.経時的に,眼圧上昇に伴う視神経乳頭陥凹/乳頭比の増加,Rim面積/乳頭面積比の減少,陥凹容積/乳頭面積比の増加,網膜神経線維層の減少が認められた. 3.病理組織学的にも,視神経乳頭陥凹の拡大と神経線維の減少が認められた. 4.平均眼圧が20mmHg未満であった長期の経過観察期間中の視神経乳頭陥凹の変化を検討した結果,Rim面積/乳頭面積比の減少,陥凹面積/乳頭面積比の増加がみられた。視神経乳頭陥凹の高度悪化進行群(Rim面積/乳頭面積比の悪化率が10%以上,陥凹容積/乳頭面積比の悪化率が20%以上)と軽度悪化進行群(Rim面積/乳頭面積比の悪化率が10%未満,陥凹容積/乳頭面積比の悪化率が20%未満)の経過中の平均眼圧と眼圧の標準偏差を比較検討した結果、経過中の平均眼圧は両群間に有意差はみられなかったが,視神経乳頭陥凹の高度悪化進行群の眼圧の標準偏差は,軽度悪化進行群に比べて,有意に高値であった. 5.本研究により,実験緑内障サル眼において,眼圧上昇に伴って,視神経乳頭陥凹が拡大し,網膜神経線維層が減少することが示され,病理組織学的にも,視神経乳頭陥凹が拡大し,神経線維が減少することが示された.実験緑内障サル眼において,平均眼圧が20mmHg未満であっても長期の経過観察で乳頭陥凹が進行することが示され,経過中の眼圧の変動が大きい眼では,乳頭陥凹が進行しやすいことが明らかとなった.
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