Research Abstract |
(1)エンドテリンは硝子体内投与後に眼圧下降が生ずることが報告されているが,投与直後から長期にわたる詳細な観察成績はなく,エンドテリン投与量と眼圧反応に関する用量作用関数については不明の点が多い.今回,一眼に種々の濃度(10^<-4>,10^<-5>,3×10^<-6>,10^<-6>,10^<-7>M)のエンドテリン-1 20μlを硝子体内に注入し,その後の眼圧変動を最短72時間観察した.10^<-4>,10^<-5>Mエンドテリン-1を硝子体内注入後の眼圧は0.5〜2時間にわたり一過性に上昇し,その後,4日目までに持続的に有意に下降する二相性変化を示した.3×10^<-6>,10^<-6>M注入では,眼圧下降のみが認められた.10^<-7>Mでは,有意の眼圧変動を認めなかった.エンドテリン投与眼の眼圧反応は,一過性の眼圧上昇および持続性の眼圧下降とともに曲線下面積法により有意の用量依存性を認めた. (2)ET_A受容体拮抗剤である97-139前処置が、ET-1硝子体内投与後の眼圧変動および前房内PGE_2濃度に及ぼす影響について白色家兎を用いて検討した。10^<-5>M(20μl)ET-1を硝子体投与後の眼圧は、一過性に上昇し、その後持続的に有意に下降する二相性変動を示した。10^<-6>Mでは、眼圧下降のみ認めた。次に、97-139(10^<-2>M,20μl)の単独投与では眼圧に有意の変化を認めなかった。そこで、97-139(10^<-2>M,20μl)を投与後30分でET-1(10^<-5>,20μl)を投与したところ、眼圧の下降が有意に抑制された。同様に97-139(10^<-3>M)とET-1(10^<-6>M)を投与しても、眼圧下降の有意の抑制が認められた。前房内PGE_2濃度は、ET-1(10^<-5>M)投与後1,24時間で著明に上昇したが、97-139(10^<-2>M)前投与により有意に抑制された。以上の結果より、ET-1硝子体内投与後に生じる眼圧変動と前房内PGE_2の上昇には、少なくともET_A受容体が関与していることが示唆された。
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