Research Abstract |
目的:緑内障の早期発見は,疾患の鑑別診断,治療方針決定において極めて重要な課題である。我々は,時間的分離能を反映する自動静的フリッカー視野計を開発し,従来の明度識別視野測定より鋭敏に早期緑内障性視野変化を検出できることを報告してきた。今回は,緑内障性視野障害におけるフリッカー感度と明度識別視感度の関係をさらに明瞭化する目的で,網膜神経線維層欠損部位内における両者の関係を比較検討することを研究の目的とした。 対象および方法:早期緑内障症例82例150眼を対象とした。個々の症例に,明度識別視野測定,フリッカー視野測定,無赤光眼底撮影,Scanning Laser Ophthalmoscope(SLO)を施行した。明度識別視野はOctopus201プログラムNo32を施行した。フリッカー視野は,我々が開発したOctopus1-2-3による自動フリッカー視野計にて測定を行なった。網膜神経線維層欠損の検出は,Canon社製60°眼底カメラを用い無赤光眼底写真をKodak technical panfilmにて撮影した。さらにSLOを用い網膜神経線維層欠損の状態をSVHSテープに記録し,ビデオキャプチャーボードを介してIBMパーソナルコンピュータに取り込み,加算平均化処理を施行し静止画像を得た。これらの画像をOctopusおよびフリッカー視野と重ねあわせ,網膜神経線維欠損部位のフリッカー感度,明度識別視感度の相関関係を求めた。 結果:網膜神経線維層欠損部位では,明度識別視感度が30dBから20dBに低下するとCFF値は40Hzから5Hzに急激に低下することがわかった。また明度識別視感度が15dBより低い部位では多くの測定点においてCFF値が0Hzとなった。また,網膜神経線維層欠損部位において47%の測定点で年齢別正常値より30HzのCFF値の低下を認めた。 結論:自動フリッカー視野計によるCFF値の測定は早期緑内障性視野異常の検出に有用であることが分かった。
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