エナメル器細胞の分化とヘパラン硫酸鎖,CD44発現に関する研究
Project/Area Number |
06771580
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Morphological basic dentistry
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 浩彰 新潟大学, 歯学部, 助手 (50227930)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | ヘパラン硫酸鎖 / CD44 / 中間層細胞 / 乳頭層細胞 / 免疫組織化学 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
エナメル質の形成、成熟過程はエナメル器を構成するエナメル芽細胞、エナメル髄細胞、中間層細胞、外エナメル上皮の形態、機能変化と密接な関係を有している。近年、中間層細胞にTGF-βが発現していることが明かにされ、エナメル質形成においても各種成長因子、細胞間相互作用の重要性が指摘されている。我々は、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)が線維芽細胞成長因子(FGF)などのヘパリン結合性成長因子を保持するpreservoirして機能すること、上皮細胞のCD44がヘパラン硫酸鎖を含むこと(Brown et al.1991)に注目し、ラット下顎切歯におけるCD44、ヘパラン硫酸鎖(HS鎖)に対するモノクロナール抗体を用いて免疫組織化学的に検索するとともに、切片上にてbFGFの結合部位についても検討し共焦点走査型レーザー顕微鏡、透過型電子顕微鏡にて観察を行った。HS鎖の局在は、分化期には主として外エナメル上皮の基底膜に認められ、形成期に近づくにつれ、外エナメル上皮、エナメル髄、中間層細胞の細胞膜にも認められるようになった。形成期にいたると免疫反応は、中間層細胞の細胞膜にもっとも強く局在し、エナメル芽細胞においてはほとんど認められなかった。成熟期にいたると、乳頭層細胞の細胞膜に強い免疫反応が認められた。また、bFGFの結合部位もヘパラン硫酸鎖の局在と同様な傾向を示した。一方、CD44の局在はエナメル器のすべての細胞において認められたが、形成期では中間層細胞、成熟期では乳頭層細胞が強い免疫反応を示した。また、ruffle-ended ameloblast,smooth-ended ameloblastいずれの成熟期エナメル芽細胞の遠心端細胞膜には免疫反応は陰性であった。 以上の結果から、中間層細胞、乳頭層細胞の細胞膜にはヘパラン硫酸鎖が含まれていることが明かとなり、細胞膜型のヘパラン硫酸プロテオグリカンであるCD44の局在を示しているものと考えられた。中間層細胞、乳頭層細胞の細胞膜のヘパラン硫酸鎖は、1)陰性荷電によりカルシウムなどの陽イオンをトラップすることにより、ミネラルの輸送調節を行っている可能性および2)ヘパリン結合性成長因子であるbFGFを結合することから、成長因子を局所に貯蔵することにより、エナメル芽細胞の分化、形態変化を制御している可能性が推測された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(9 results)