Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
ミュータンス菌のケモスタット培養を中心とする解析で,本菌の酸性条件への適応機構のひとつは,細胞内に流入するH^+を細胞外へ排出する役割を担うH^+-ATPaseの誘導であることを見いだした。今回,この低pH適応で誘導されたH^+-ATPaseの機能を明らかにするために増殖時のpHが異なる菌の△pH形成能および解糖活性を比較した。 供試菌として,S.rattus FA-1のpH7.0と5.0のケモスタット培養菌(それぞれpH7.0菌,pH5.0菌)を用いた。△pH:洗浄菌体を室温の^<14>C-アセチルサリチル酸を含む緩衝液に懸濁し,菌体内外への放射活性の分布を測定した。解糖活性:洗浄菌体を25℃(温度環境を一定に保つために冷却機を使用)の緩衝液に懸濁し,グルコース添加後の酸生成速度をpHスタット法で測定した。その結果,pH5.0菌,pH7.0菌ともに細胞外pH5.0〜7.5の範囲で△pHを形成し,有意な差は認められなかった。このことは,△pH形成能そのものは,H^+-ATPase量に依存していないことを示している。解糖活性およびそのpH依存性は,両菌の間に有意な差は認められなかった。しかし,プロトノフォアであるFCCPが存在するとpH5.0菌の解糖活性は,顕著に促進された。これに対して,pH7.0菌の促進は軽微であった。また,窒素源を加えたところ,pH6.0以下になるとpH5.0菌でのみ解糖活性の促進が観察された。このようなFCCPや窒素源添加による解糖活性の促進は,エネルギー産生(解糖)系とエネルギー消費系が密接に連動していることを示唆している。また,pH5.0菌のみに低pH環境で窒素源による解糖活性促進が観察されることから,低pH適応で誘導されたH^+-ATPaseは,各種物質の細胞内外への輸送に必要なプロトン駆動力を形成し,高分子合成可能な状態の形成・維持のために作動していると推察される。
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