Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
樹状細胞(DC)は抗原提示細胞の一つであるが,その分化成熟過程,抗原提示のメカニズムなどに不明な点が多い.そこで抗ラット樹状細胞抗体(KO3)を用いて以下の実験を行った. KO3を用いた免疫組織染色の結果,ラット歯肉にLPS,OVAなどの抗原を接種すると,顎下リンパ節におけるDCの移動が経時的に観察された.また,小腸パイエル板においても抗原の経口投与にともなって,DCの経時的移動が観察された.これらはいずれもT細胞領域に集積していった.すなわち,DCは外来抗原の侵入に応答して,各臓器組織内の免疫応答の場へ移動していることが明らかとなった. つぎにWestern blottingを行った結果,KO3抗原の分子量は各臓器組織で多少異なるが約35kDaであった.しかも興味深いことに小腸パイエル板において,LPS,OVAの抗原投与後経時的に分子量が変化した.この機序に注目して検討を進めたところ,1994年MiyataniらによってDC分化因子(DCDF)の部分精製が行われ,その分子量は約35kDaと同定された.これはKO3抗原の分子量と一致することから,モノクローナル抗体KO3がDCの分化因子を認識している可能性があるとして,DCの分化誘導実験を行った.DCの分化成熟に関しては,1992年Cauxらによって骨髄細胞からTNF-αとGM-CSFの作用でDCが分化してくることが報告された.そこでKO3をマーカーに同様の実験を行った結果,骨髄細胞中にわずかに存在するKO3陽性細胞が,TNF-αとGM-CSFを加えて培養していくと明らかに増加してきた.また,KO3陽性細胞はDC特有の形態をしており,TNF-αとGM-CSFによる誘導とともにMHCクラスII抗原の発現も持つようになった. 以上の結果から,KO3抗原がDCの分化成熟に関連している可能性が示唆され,さらに機能的な解析を行う予定である.
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