Research Abstract |
MRアンギオグラフィーは非侵襲的な血管描出法として、広く臨床に用いられている。ところが、MRアンギオグラフィーにより良好な血管像が得られるのは、まだ限られた領域であり、顎顔面領域の末梢血管を良好に描出できたという文献報告はない。本研究の目的は、顎顔面領域において重要な血管と考えられる下歯槽動脈、顔面動脈等の血管描出法を確立することである。 本年度は、正常例における各種動脈の最適撮像条件の設定と臨床での有用性の検討を行った。 装置は1.5T超伝導MR装置(東芝社製、シーメンス社製)、コイルは頸部コイル、サーフェスコイルを使用した。 今回行った実験による、正常例における各種動脈の最適撮像法は以下のとおりである。 1.下歯槽動脈、口蓋動脈 コイルは頸部コイルを用い、撮像方向は血管に平行な矢状面とした。撮像法は3次元タイムオブフライト法で撮像条件はTR=40,TE=8msec,FLIP Angle20度,Slice厚2mm。後処理(最大値投影法等)は行わず、Source imageをMRアンギオ像として用いることにより良好な画像が得られた。これらの末梢血管は、このような撮像法を用いない限り、全く描出されなかった。 顔面動脈 撮像方向は血管に垂直な軸面、撮像法は3次元タイムオブフライト法のサブトラクション法。撮像条件は下歯槽動脈と同様。最大値投影法により3次元構築を行った。サーフェスコイルを用いることにより良好な画像が得られた。 また、臨床での有用性の検討は嚢胞や埋伏歯による血管への影響の評価を行ったが、各種検査法で認識できなかった血管の偏位や圧迫が明瞭に把握できた。また下歯槽動脈、口蓋動脈はSource imageをMRアンギオ像として用いているため、病変と血管の位置関係や周囲組織との関係も把握でき、外科治療の際の有用な情報となると考えられた。
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