Research Abstract |
本研究では、フッ素含有材料がプラークの性状に及ぼす影響を検索する目的として、ヒト口腔内由来のプラークをグラスアイオノマーセメント上に定着・増殖させ、プラーク中のフッ素濃度およびpHを測定した。 ヒト口腔内から分離・継代培養したStreptococcusを5% sucrose添加BHI培地に幡種し、インキュベータ-中で37℃,24時間プラークを培養・増殖させた。次に。注射用シリンジを用いて遠沈管底部に充填材料を一定量充填し、培地中に増殖・浮遊したプラークを遠心分離器を用いて、充填材料表面に定着させた。充填材料として、実験群ではグラスアイオノマーセメント(GI群)を、対照群ではフッ素を含有しないコンポジットレジン(CO群)を用いた。その後、5%sucrose添加PBS中で37℃,24時間プラークを増殖・成熟させた。所定時間経過後、遠心分離器にかけプラークと上清に分け、フッ素イオン電極を用いてプラーク中および上清のフッ素濃度さらにpHメーターを用いてpHの測定を行った。 材料表面上に24時間で増殖したプラークの湿重量はGI群で0.55±0.08g,CO群で0.54±0.08gであり、有意差は認められなかった。フッ素濃度はGI群においてプラーク中が1.69±0.77ppm,上清中が2.87±0.31ppmであったのに対し、CO群においてはプラーク中、上清中とも検出限界以下であった。GI群において、プラーク中、上清中のフッ素濃度に有意差は認められなかった(p<0.05)。一方、pHはGI群ではプラークが5.82±0.15、上清が6.92±0.08、CO群ではプラーク5.90±0.50、上清6.37±0.28を示し、両群ともプラークのpHは上清に比較して有意に低い値を示した(p<0.05)が、両群間にはプラークのpH値に有意差は認められなかった。 今回GI群において認められたプラーク中のフッ素が、どのような形で存在し、また細菌とどのように関わっているのか、今後検討が必要と思われる。
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