Research Abstract |
歯質接着性レジンをクラウン・ブリッジの合着に用いるとクラウンマージンの辺縁漏洩が抑制でき、機能期間の延長につながる。しかし、接着の対称になる象牙質は水分や有機質を多く含有しているため接着を困難にしている。そこで親水性モノマーを含むプライマーを用いて被着面処理を行ない、モノマーを効率良くコラーゲン層内に浸透、拡散させ、コラーゲン層での重合率を向上し、辺縁漏洩を最少にする接着強化法を確立する事を本研究の目的とした。 (結果) 1.牛歯象牙質に対する接着強さ:被着面処理にHEMA,MDP,MASA/水系プライマー(EDプライマー)の作用時間を変化させ、接着性レジン(パナビア21)を接着した。接着強さは、60秒処理で7.6MPa、90秒処理で8.3MPa、120秒処理で12.4MPaと処理時間の延長とともに接着強さは向上した。 2.牛歯象牙質に対する接着耐久性:1.と同法で接着し、4℃-60℃のサーマルサイクリング試験を10,000回行なった。接着強さはEDプライマー60および120秒処理の場合、5,000回までは約5.0MPaの接着強さを示したが、10,000回後では60秒処理で1.0MPa、120秒処理で4.4MPaに低下した。 3.接着界面の観察:EDプライマー60秒処理した象牙質とパナビア21との接着界面付近をSEM観察した結果、EDプライマー処理した象牙質に生成した接着に有効な樹脂含浸層が0.2〜0.4μm観察された。 今後はさらにEDプライマーの反応性を高め、接着耐久性の向上図る研究を行なっている。
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