Research Abstract |
雑種成犬の下顎単根歯を抜歯後歯根膜細胞を剥離し,out-growth法にて細胞培養を行う.また剥離後の歯牙は2種類の保存液(UW液・DDS)中にて0℃を行った. 保存終了後の歯の歯根表面を高分子電解質錯体膜(キチン・キトサン)でコーティングを行い,その膜表面に培養後の歯根膜細胞を植え付けた.高分子電解質錯体膜は,キチン4種(Sキチン・Pキチン・CMキチン70・CMキチン100)とキトサン2種(キトサン70・キトサン100)の組み合わせで構成されるが,この8種類の中ではSキチンとキトサン100の組み合わせに於いて細胞の接着性を増殖性の向上が認められた. そして,この細胞を含む膜を歯根膜代用として,犬に自家再植を行った. 歯牙自家再植4週間後に下顎骨体を摘出し,光顕切片を作製し観察した. 歯牙の保存期間の長短及び歯牙保存液の種類に関わらず,再植歯の周囲に歯根膜用組織が認められたが,歯根膜様組織と再植窩の骨面の結合は認められず,歯牙を被包している組織像が観察された.また歯根膜様組織中の歯根膜細胞は天然歯の歯根膜の様な規則正しい排列は認められなかった.今回の実験では,ペック膜の代用歯根膜としての可能性が示唆されたが,歯根膜の細胞走行など,今後の課題が残された.
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