Research Abstract |
正常者においてガイド様式ならびに矢状切歯路傾斜度を実験的に変化させ,外側翼突筋下頭筋活動を計測することにより,ガイド様式ならびに傾斜度の変化が筋活動に与える影響について検討し,アンテリアガイドの客観的決定方法の指標を得ることを目的として以下の実験を行った. 咬頭嵌合位より1.5mm咬合挙上した実験用シ-ネは,それぞれの被験者ごとに2種類の咬合様式(ミュチャリー・プロテクションオクルージョンとグループ・ファンクションオクルージョン)と各傾斜度(10°〜40°)を与えたものを作製した.顆頭点の測定は,近赤外線発光ダイオードとPSDを用い,切歯点の測定は下顎運動描記装置MKG K6システムを用い行った.筋電図波形と下顎運動波形は,データレコーダーに記録したのち,A/D変換器で変換した後,パーソナルコンピュータに取り込み,プログラム上にて分析を行った. 以下の結果を得た. 1.アンテリアガイドの傾斜度の変化に伴い顆頭点の運動経路間に差は,認められなかった. 2.アンテリアガイドの傾斜度が大きくなるに従って,外側翼突筋下頭筋活動量は上昇傾向を示すものの有意な差は認められなかった。 3.グループ・ファンクションオクルージョンを付与した咬合様式での側方運動時の外側翼突筋下頭筋活動量の方が,ミュチャリー・プロテクションオクルージョンを付与したものより大きな活動量を示した. これらのことより,アンテリアガイドの客観的決定法としての外側翼突筋下頭筋活動を利用できる可能性が示唆された.
|