Research Abstract |
口腔外科手術時の経鼻的気管内挿管における鼻腔狭窄の限界域および頭位を明らかにするために気道内圧を測定した. 【対象と方法】 下顎後退術を予定された経鼻的気管内挿管をされる ASA 1の患者とし,対象を経鼻的気管内チューブの鼻腔内通過に問題のなかった症例をA群,通過不良のあった症例をB群の2群にわけた.術前自発呼吸時気管内挿管直後,術中頭位変換時,抜管直後の自発呼吸時に水平仰臥位において呼吸モニタ(日本光電,OMR-8101,既有)を用い,呼吸用フローセンサ(日本光電,TF-801P新規購入)にて換気流量より気道内圧を測定した 【結果】 A群では,挿管直後の気道内圧に対して頭位変換や陽圧換気による気道内圧の変化は見られなかった.B群では,A群に比べ気道内圧が10〜20%上昇し,頭位変換によって5%前後の変化がみられた.両群とも心拍数,血圧,動脈血血液ガス分析値に変化はみられなかったが,B群では用手換気により気道内圧上昇や換気不全を考慮した換気条件が必要であった. 【考察】 経鼻的気管内挿管においては鼻腔狭窄が存在する場合気道内圧の上昇を招き換気不全を起こす可能性が考えられ,通常の10〜20%の上昇で術中換気条件に十分な配慮が必要と思われた.下顎後退術における頭位変換は鼻腔狭窄のない場合はほとんど問題がないが,狭窄のある場合は換気不全に注意が必要であると示唆された.
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