Research Abstract |
生後15日齢のSPEのSD系ラット(雄,各12匹)にエリスロマイシン耐性にしたS.oralis SN1405ER株,S.sanguis SN305ER株あるいはS.gordonii SN403ER株を2日間播種し,感染させた.その翌日から5日間,ストレプトマイシン耐性S.mutans MT8148SR株を播種するとともに,スクロースを56%含む齲蝕誘発性飼料2000を与え,ラットに齲蝕を誘発させた.供試菌株の定着状態は1週間毎に綿棒で歯面をぬぐうことによりプラークを採取して調べた.72日齢でラットを屠殺し,供試菌株の定着状態,プラークスコアおよび齲蝕スコアを求めた. 結果と考察:(1)供試菌株の定着:S.oralis SN1405ER株は感染直後から定着が確認された.一方,S.sanguis SN305ER株は,感染1週間後から回収されるようになったが,S.gordonii SN403ER株は,回収されなかった.S.mutans MT8148SR株はいずれの群でも回収され,その回収菌数はS.oralis感染群で最も高かった.当初は優勢であったS.oralisやS.sanguisの回収菌数も,S.mutansの菌数が増加するとともに減少した.(2)齲蝕スコアおよびプラークスコア:S.oralis感染群およびS.sanguis感染群は,コントロール群より有意に高い齲蝕スコアとプラークスコアが示された. 以上の結果は,S.oralisやS.sanguisの存在がS.mutansの定着を促進し,同菌の齲蝕誘発能を助長することを示唆している.
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