インターロイキン1の細胞増殖阻害作用に対する耐性獲得機構の解析
Project/Area Number |
06772144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
林 秀敏 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (80198853)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | インターロイキン1 / インターロイキン6 / メラノーマ / 増殖阻害 / インターロイキン6レセプター / gp130 |
Research Abstract |
IL-1感受性ヒトメラノーマ細胞株(A375-6)を長期培養することにより、IL-1に対して抵抗性を獲得したクローン(A375-R8,A375-R19)は構成的にIL-1αを産生し、これがオートクラインに作用しIL-6の産生も恒常的におこっていることがわかった。そこで、耐性化の獲得機構を解析するために、まず、このIL-1αの産生がIL-1に対する耐性化の引き金になっているか否かを検討した。感受性株(A375-6)ヒトIL-1α cDNAを導入し、強制発現させることにより、IL-1αやIL-6に対し抵抗性を獲得できるか、また、構成的に発現している耐性クローンからのIL-1αをIL-1αアンチセンスcDNAを高発現させ、抑制させることにより、IL-1αやIL-6に対して感受性を回復できるかどうかを検討した。しかしながら、いずれの場合も、IL-1α,IL-6ならびにTNF等に対する感受性には全く変化がみられず、IL-1産生は直接のIL-1耐性化の原因とはならないと考えられた。 IL-1による細胞増殖阻害作用の機序の一つにIL-1によって誘導されるIL-6があると報告している。この耐性クローンはIL-6に対しても耐性を示すことから、次に、IL-6によるシグナル系の変化の有無について検討した。IL-6のレセプターは狭義のIL-6レセプター(IL-6R)とそのトランスデューサーであるgp130からなることが知られている。そこで、まず、これらのmRNAレベルでの発現をRT-PCR法を用いて調べたところ、gp130は両耐性クローンとも感受性株と同程度の発現が見らたが、IL-6RはA375-R8は強い発現が見られたが、A375-R19はほとんど検出されなかった。同じgp130をトランスデューサーとするoncostatin M に対する感受性は両耐性クローンにも見られたことから、gp130を介するシグナル伝達系は正常に機能していることが示唆された。また、IL-6刺激により、細胞内のp160のタンパクのチロシンリン酸化が誘導されることが報告されていることから、この点についても検討したところ、感受性株、A375-R8ではこのリン酸化が観察されたが、A375-R19では全く見られなかった。以上のことから、IL-6Rの欠損、あるいは、IL-6Rのシグナルは正常であるが、増殖阻害系のシグナルが欠損しているか、増殖阻害を抑制させる機構が誘導されているためにIL-6に対する感受性が見られないものと思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)