Research Abstract |
これまで、2種の新規ビタミンD誘導体:22-oxa-1α,25-Dihydroxyvitamin D_3 (OCT)および2β-(3-Hydroxypropoxy)-1α,25-Dihydroxyvitamin D_3 (Hydroxypropoxycalcitriol:HPCT)の生理活性を検討した結果、OCTは分化誘導作用、免疫調節作用、PTH分泌抑制作用を強く発現するもののCa調節作用が弱く、HPCTは骨粗鬆症モデルラットの骨密度を1α,25-Dihydroxyvitamin D_3よりも有効に増加させることを確認した。今年度は、これら2種のD誘導体のCa代謝調節作用における作用機構の相違を解明する目的で腸管Ca吸収能や骨塩動員作用を1,25(OH)_2D_3と比較しながら経時的に観察した。その結果、天然の活性型Dである1,25(OH)_2D_3およびHPCTは腸管Ca吸収能と骨塩動員作用でともに投与後6時間目までに起こる第一相目の作用と投与後12時間目以降に起こる第二相目の作用を有することが確認された。これに対し、Ca代謝調節作用をほとんど示さないとれていたOCTは第一相目の作用を有意に示すものの第二相目の作用をほとんど示し得ないことが明らかとなった。D誘導体の小腸におけるCa結合蛋白質(CaBP)の産生をmRNAレベルおよび蛋白レベルでの詳細な検討およびCaポンプを介するCaの細胞内取り込みは現在続行中である。また、A環の2β位に種々の側鎖を導入したD誘導体のVDRおよびDBP結合性を検討した結果、VDR結合性が天然の1,25(OH)_2D_3よりも高いD誘導体を確認することができた。これらの結果は、今後のビタミンDのドラッグデザインに充分役立つものと思われる。
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