Research Abstract |
1.25-OH-D及び1,25(OH)_2Dの同時定量法の開発 血漿中にはビタミンD(D)代謝物の定量を妨害する物質が多量に含まれている。妨害物を除くとともに目的の代謝物を効率良くとらえることが必要である。これまでの定量法では数段階のHPLCによるクリーンアップが必要不可欠であるとされていたが,操作が煩雑で時間がかかるという欠点があった。HPLCをミニカラムに変えることによって,問題点を一挙に解決できることができた。順相あるいは逆相系のミニカラムの条件を検討して,25-OH-Dと1,25(OH)_2Dが分離でき,再現性が高く,効率の良い条件を確立した。次に,すでに報告しているHPLC法を応用して,25-OH-DのD_2系,D_3系の分離定量が可能な最適の条件を確立した。ラジオレセプターアッセイ(RRA)法のレセプターをこれまで使用してきたニワトリ小腸からウシ胸腺由来のものに変えて特異性を上げることによって定量感度を上げて試料量を減らし,1,25(OH)_2D_2,1,25(OH)_2D_3を再現性良く測定できる条件を確立した。 栄養診断及び臨床診断への応用 (1)健常成人のD栄養状態の診断:健常成人男女ボランティアの血漿中の25-OH-D及び1,25(OH)_2Dの定量を行うとともに血漿カルシウム,リン,PTHなどのカルシウム代謝調節ホルモン濃度を測定して,健常人のD栄養状態を明らかにした。このデータを男女別,年令別,D摂取量別,ライフスタイル別に分けて解析した。 (2)ビタミン剤服用によるD栄養状態の改善効果:健常成人及び高齢者のボランティアに総合ビタミン剤(D_2含有)を長期間服用してもらい,25-OH-D及び1,25(OH)_2DのD_2系,D_3系の分離定量をするとともに,カルシウム代謝調節ホルモン濃度を測定して,ビタミン剤服用による効果を調べた。 (3)骨疾患をはじめとする種々の病態患者の臨床診断:骨軟化疾患者,骨粗鬆症患者,種々の原因による高カルシウム血症患者,副甲状腺機能亢進症及び低下症の患者血漿中の25-OH-D及び1,25(OH)_2Dを測定して,診断や治療に役立てることができた。
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