血管の動力学的刺激-機能発現過程におけるチロシンキナーゼによる特異的調節機構
Project/Area Number |
06772209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
応用薬理学・医療系薬学
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
田中 芳夫 静岡県立大学, 薬学部・薬理学教室, 助手 (60188349)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | チロシンキナーゼ / 血管 / 動力学的刺激 / 血行力学 / 筋原性収縮 / カルシウムイオン / 細胞内情法伝達 / 収縮特性 |
Research Abstract |
心脈管系では血行力学的刺激たとえば、伸展・圧変動・血流によるずり応力などの力学的刺激は、神経伝達物質・ホルモンなどの液性因子と共に血流の即時的な生理的調節や中・長期的な心・血管の再構築とも深く関係し、血管攣縮・高血圧・動脈硬化・心肥大などの病態との深い関連性がある。著者は、チロシンキナーゼ活性を修飾する処理により力学的刺激反応が特異的に制御される可能性を見い出し、機械的・物理的情報受容の細胞内機能発現への転換機構に新しい調節機序が存在する可能性を示した。得られた研究実績は以下に要約できる。 1)薬物治療の臨床的標的部位であり且つ伸展・潅流圧・流れなどの血行力学刺激に対して特に鋭敏に反応する脳・冠動脈において、急速伸展刺激に対して発生する筋原性収縮反応が、カルシウムチャネルやホスホリパーゼCの活性化に伴う種々の細胞内機能因子、たとえばホスファチジ-ル3リン酸の動員やプロテインキナーゼCの活性化に基づくことを実証した。 2)ラット脳微小血管において、内腔圧上昇による収縮反応を、チロシンキナーゼ阻害薬であるゲニステインが有意に抑制した。また、ゲニステインはトロンボキサンA_2誘導体U46619による収縮をも有意に抑制するが高カリウムによる膜脱分極性収縮には作用しないことを見い出した。 以上の結果、膜7回貫通型受容体であるトロンボキサンA_2受容体がGTP結合タンパクを介してホスホリパーゼCに連鎖するのみならず、チロシンキナーゼ受容体を介して同種のホスホリパーゼCを活性化する可能性を示唆している。また、血管系におけるメカノセンサー機構がチロシンキナーゼ受容体と深くかかわる可能性を示唆し、血管の再構築や病態的な増殖、肥厚と血行力学因子のかかわりの研究に新たな視点を与えた。さらに、本研究を進めるとともに、得られた成果を英語論文として発表する。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)