Research Abstract |
日本人における薬物代謝能を判定するtest drugの探索としてメフォバルビタール(MPB)およびシタロプラム(CTP)について,メフェニトイン(MP)型遺伝多型との関連性を検討した. 1.R-MPBの代謝とS-MPの水酸化との関係 ヒト肝ミクロゾームを用いた検討より、1)S-MPとR-MPBの水酸化活性との間には極めて高い相関が存在する,2)S-MPとR-MPBは相互に競合的阻害を示す,3)抗CYP2C抗体の添加はR-MPBの水酸化を強く阻害することが明らかとなった.また,MPB(ラセミ体)投与後の体内動態をS-MPの水酸化能が低いpoor metabolizer(PM)と正常なextensive metabolizer(EM)で比較したところ,1)PMではEMに比較しR-MPBの血漿中からの消失は著しく遅延していたが,2)S-MPBの消失には差は認められなかった,3)服用後24時間におけるR-MPBの水酸化体の尿中排泄率はPMがEMの約60分の1を示した. 以上より,P-MPBとS-MPの水酸化は同じ酵素によって触媒されており,R-MPBが遺伝多型を示すS-MPの水酸化能を反映する薬物であることが示唆された. 2.CTPの代謝に関与するCYP分子種の検討 CTPの脱メチル化活性,はS-MPのPMおよびEMから得たと考えられるヒト肝ミクロゾームにおいて差は認められず,S-MPの添加による阻害も受けなかった.一方,S-MPの水酸化はCTPにより競合的に阻害されたことより,脱メチル化以外の代謝経路にS-MPの水酸化酸素が関与している可能性が示唆された. これらの結果は,第67回日本薬理学会年会,日本薬学会第114年会,第9回日本薬物動態学会年会で発表された.
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