Project/Area Number |
06780003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
家政学
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
井奥 加奈 大阪教育大学, 教育学部・家政教育講座, 文部教官助手 (40243282)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 抗酸化性 / 配糖体 / フラボノイド / 脂質過酸化 |
Research Abstract |
食事中にある代表的な天然抗酸化性物質のひとつであるケルセチンは通常種々の配糖体として存在している。今回、それらのモデルとして、ケルセチンの水酸基のひとつをグルコースで置換した配糖体を3種類有機合成により調製し、これらの配糖体について均一な有機溶媒中におけるラジカル捕捉能を高速液体クロマトグラフィーを用いて検討した。その結果、いずれの配糖体もアグリコンであるケルセチンよりラジカル捕捉能は低下した。しかしながら、グルコースを置換させることにより、置換された水酸基がケルセチンの抗酸化性に果たす役割が新たに明らかとなった。すなわち、置換する位置によって、水酸基はラジカル捕捉の中心的役割を果たしたり、ラジカル捕捉効果を持続させたり、あるいはラジカル捕捉にあまり影響を与えなかったりするのである。とりわけ、B環の水酸基はラジカル捕捉の中心的役割を果たしていることが判明した。 次に、生体内の細胞膜モデルとしてリン脂質リポソームを調製し、ケルセチンとその配糖体の抗酸化性を検討した。いずれも抗酸化性はケルセチンより低かった。また、ラジカル捕捉の中心となる水酸基以外の水酸基を置換しても抗酸化性に顕著な差は見られなかった。これは、配糖体の抗酸化性が、生体内では糖の置換位置にそう影響を受けない可能性を示唆している。生体内で抗酸化性物質が細胞膜に作用するには、ヒトが食物として摂取し、消化・吸収されることが大前提である。ヒトが食物として自然界に存在するものを調理し摂取する以上、天然抗酸化性物質も知らず知らずのうちに体内に入っている。その場合、これら配糖体は生体内抗酸化性物質として作用しうるのか、糖の置換位置がどう影響するのかは非常に興味深く、今後更に検討する予定である。
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