Research Abstract |
水泳動作中における身体各部の動きの解析を行った.被験者にはクロールで泳いでもらい,TVカメラで選手の映像を水中の側方から撮影した.撮影した映像の多数のフレームをコンピュータへ取り込み,頭,肩,肘,手,胴,腰,膝,足などの身体各部の時間的変移を2次元座標として求めた.得られた身体各部の座標値をモニタ上にワ-ヤ-フレーム表示することにより,身体各部がどのような動きをしているのかを計測した.その結果,効率の良いと思われる動きや無駄な動きを観測することができた.また,その選手特有の動きなども観測することができた.しかし,フォームの普遍的な良否を議論するには至っておらず,そのためには膨大なデータ数が必要である.次に,水泳の推進力がどのような身体動作に起因するものなのかを検討した.手の動作(プル)と足の動作(キック)の関連について検討を行った。クロールの通常動作で25m泳いだときの所要時間とプルの回数とキックの回数,について調査した.そのとき,100%の力,50%の力,200m競技における最初の25mを泳ぐときの力について計測した.さらに,クロール,プルのみ,キックのみで先と同様各々の力で泳いだときの推進力の時間的変化を計測した.その結果,推進力を強く発揮しているのはプルであることが分かった.しかし,プルのみの泳ぎでは,推進力の時間的変動が激しいことも判明した.また,キックのみの泳ぎでは,時間的変動は少ないものの,小さい推進力しか得られなかった.クロールでの推進力は,プルのみの推進力とキックのみの推進力の単純な和にはならない.速くかつ効率良く泳ぐには,両者の微妙なバランスが必要である.今後の研究の展開としては,泳ぎに対して負荷をかけたときに推進力がどのように変化するのかを調査することも必要である。
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