Research Abstract |
本研究では4作品『春の祭典(作品A;以下同様))』、『オルフェオとエウリディーチェ(B)』、『カルミナブラーナ/カトゥリカルミナ(C)』、『アルチェスティス(D)』について、まず、基礎的資料作成のためにスキッツェに出現する言語を設定するカテゴリー(1状況、2動き、3感情、4名称、5番号、6位置、7他)に分類し、出現率、出現傾向を明らかにした。出現率は次に示す通りである。カテゴリー1→2.7;5.4;2.7;1.9(%:A;B;C;D以下同様),2→23.1;17.0;22.8;16.2, 3→12.2;3.8;1.0;11.5, 4→11.9;32.3;27.5;15.6, 5→14.9;20.8;8.6;6.7, 6 →29.0;11.5;19.6;34.7, 7→6.2;9.2;7.8;13.4。 カテゴリー1と2は、2つが比例した出現率を示すパターンと相互に関連なく出現しているパターンとに分れた。さらに図像的な側面を考慮に加えると、カテゴリー2は作品全体のイメージに焦点がある時は低い出現率を示し、詳細なところへ焦点がある時は高い出現率を示していた。これは創作過程が大局的にイメージをつかんで進んでいるか、微細な動きの確定に焦点をおいて進んでいるかの違いである。カテゴリー3は一概に数字だけをとりあげるだけでなく、内容を検討しなければならないカテゴリーであり、創作がうまく進んでいたかを知る手掛かりであると共に、M.ヴィグマンのパーソナリティに関連するキーワードがみられた。表現主義美術の隆盛期とは20〜30年の開きがあるが、ヴィグマンが活動の基盤を築いた時期とは同時性があり、その精神を含んでいたといえる。
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