Research Abstract |
【目的】本研究の目的は、近赤外分光法を用いて活動筋への酸素供給量および活動筋での酸素消費量を非侵襲的に評価する方法を確立することであった。 【方法】非侵襲的に酸素供給量と酸素消費量を評価する方法として静脈閉塞法を用いた検討を行った。健康な成人女性5名は最大握力の5,10,15,20,25,30%に相当する重りを1分間に60回持ち上げる動的掌握運動を1分間行た。同様のプロトコールの測定を日を変えて3回行った。1日目および3日目には、上腕を60mmHgで加圧した場合の腕橈骨筋に相当する部位でのtotal-Hb量およびdeoxy-Hb量の変化(近赤外分光法)と、前腕volumeの変化(strain-gauge plethysmography)、動脈血酸素飽和度(SaO2、パルスオキシメータ)を測定し、以下に示すindexと前腕血流量を算出した。 O2 supply index=[d(total-Hb)/dt]・SaO2・100^<-1> O2 consumption index=[d(deoxy-Hb)/dt]-[d(total-Hb)/dt]・(100-SaO2)・100^<-1> 2日目には正中静脈に採血針を留置し、ヘモグロビン量および静脈血酸素含有量(Co-oxymeter)を測定し、対側の手指からSaO2を得て、動静脈酸素較差を算出し、それに前腕血流量を乗ずることによって前腕酸素消費量を得た。 【結果および考察】近赤外分光法を用いて評価したO2supply indexとplethysmographyによる血流量との間には、全被検者の全ての測定において有意な相関関係(r=0.888〜0.982)が認められた。また近赤外分光法を用いて評価したO2consumption indexと侵襲的に求めたそれとの間には全被験者で有意な相関関係(r=0.837〜0.944)が認められた。これらのことから、静脈閉塞時のtotal-Hb量およびdeoxy-Hb量を近赤外分光法を用いて評価することにより、筋への酸素供給量および酸素消費量を非侵襲的に評価することが可能であることが示された。
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