Research Abstract |
最近マルチメディア情報処理が注目を浴びているが,一口にマルチメディアと言っても,単に通信路あるいは情報記録媒体の物理的な多様化や大容量化を指す場合と情報の表現様態の多様性に重点をおく場合とがある.本研究は後者である. マルチメディア情報は各メディア情報を互いに相捕的,協調的に働かせることにより,個々のメディアを単独で用いる場合より効果的でかつ効率的なプレゼンテーションやコミュニケーションを達成できる可能性をもつ.しかし,現状では情報の分割や表現様態の選択は事前に人間が判断しているため,マルチメディアに対応するための情報提供者側の負担はますます増加の一途であり,この自動化は重要な研究課題である. 本研究ではマルチメディアによる情報表現の効果的な例として主に組立説明を取り上げ,一般的な機械部品を対象に,組立説明図と説明文を自動生成する手法を提案した. 一般に形状や空間配置の表現には視覚メディア,その他の抽象概念の表現には言語メディアが向く.組立説明書の場合,部品形状、組立方向、部品と部品名の対応、組立前後の部品配置などの説明は図が,組立順序、組立の効果、達成目標、組立の程度などの説明は言語が表現手段として適している.ただし,この分類は絶対的ではなく,相互に代用できる部分もある.例えば複数枚の連続する説明図は言語による組立順序の説明の代用となりうる. このような図と言語の情報伝達特性並びに双補性や互換性と組立に関する知識に基づき,メディア独立な説明内容の記述形式とその記述からの説明内容の分割,説明生成に関する手法などを提案した.また,部品情報とユーザである説明書作成者の与えた生成パラメータから説明図と説明文を生成するシステムを構築し,本手法がユーザ要求に柔軟に対応できる手法であることを示した.今後の課題としてはレイアウトの自動化や手法の一般化が残されている。
|