Research Abstract |
本研究の目的は、新しいプラズマ源として注目されているヘリコン波による高密度プラズマ生成を、従来の直線型ではなくトーラス型の真空容器を用いて行ない、磁場に平行な方向の境界の影響、トロイダルアイゲンモードを利用した高密度プラズマの生成機構、等を明らかにすることにある。 小型トーラス型真空容器(小半径=40mm,大半径=250mm:新規作成)の周りに12個の磁場コイル(新規作成)を配置し、真空容器中心部に約1kGの定常磁場が可能となり、また、高周波発振器(周波数=3-30MHz,電力<1.5kW)及び整合器の準備も完了した。しかし、真空容器と真空ポンプとの接続部の作成が完了せず、本装置を用いたプラズマ実験を行なうまでには至らなかった。 そこで、予備実験としてトーラス装置のトロイダルアイゲンモードを模擬し、直線型装置を用いて外部磁場方向(軸方向)のアイゲンモード(定在波)を利用した高密度プラズマの生成実験を行なった。実験では、定常磁場(<1kG)のもとで、アルゴンガス(5mTorr)を封入した真空容器(長さ=800mm,内径=45mm)に巻き付けたワンターンループアンテナに、高周波(周波数=14MHz,電力<3kW)を印加し、m=0の方位角モードをもつヘリコン波を励起し、プラズマを生成した。アンテナの両側に設置されたエンドプレートによってプラズマ長(L)を可変とし、Lをヘリコン波の波長程度(200-400mm)に選んでやると、軸方向にヘリコン波の定在波が励起され、これによって高密度プラズマ(密度<6x10^<13>cm^<-3>,電子温度〜3.5eV)が生成されていることが明らかになった。 以上の結果より、トーラス装置においては、トロイダルアイゲンモードを利用して効率よく高密度プラズマが生成される可能性が強いことがわかった。
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