Research Abstract |
使用済核燃料の再処理時に発生する高レベル放射性廃棄物には未回収の超ウラン元素が含まれるため地質学的年代にわたり生物圏から隔離する必要がある。この方法としてガラスに固化した廃棄物を深地層処分する方法が最も有望である。これは、生物圏からの距離をとるとともに、深部地下での化学環境(低い酸化還元電位)における核種の低い溶解度、岩石への核種の吸着による核種移行の遅延を期待したものである。本研究では、表面状態を特定した黒雲母鉱物へのウランの収着挙動を調べることを目的とした。 花崗岩(韓国産)を粉砕し、メッシュ32〜60に揃え、磁気分離により回収した黒雲母を塩酸、純水で洗浄したものを試料として用いた。吸着及び脱離実験は以下のようにバッチ法により行なった。濃度0.005mMのウラン溶液150mlをポリプロピレン容器に取り、0.01NのHClまたは0.01NのNaOHを用いて溶液のpHを3〜10の所定のpHに調整した。これに0.1gの黒雲母を加え、室温で一週間保持した。試料溶液を取りだし分画分子量10000の限外漉過フィルター用いて漉過し、漉液中のウラン濃度を測定することでウランの黒雲母への吸着量を求めた。次にこの黒雲母と1MKCl,1MHCl,6MHClを逐次接触させ、それぞれの試薬により黒雲母より抽出されたウランの濃度を定量した。 得られた結果は以下の通りであった。 ・黒雲母へのウランの吸着量はpH5.5〜7で大きく、酸性側、アルカリ性側では小さくなる傾向があった。 ・洗浄前のKd値に比べ洗浄後のKd値は約100倍に増加していた。BET比表面積測定の結果、洗浄前のもので0.23m2/g洗浄後のものは洗浄前の値の約100倍の21.5m2/gの値を示した。 ・逐次抽出の結果,洗浄後の試料の大きさ吸着には、イオン交換によるものの寄与は少なく、不可逆な吸着が大部分を占めていた。
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