Research Abstract |
インドネシア産薬用植物ヘリクテレス・イソラの果実はインドネシア伝統薬物ジヤムウにおいてウレウレの名で胃痙攣,口内炎等に用いられてきたが、最近,その水エキスがウイズウイルスHIV-1の逆転写酵素に対して阻害作用を有する事が明かとなった.この水エキス中の逆転写酵素阻害活性成分を明らかにするために以下に研究を行なった. インドネシア産薬用植物ヘリクテレス・イソラの果実を粉末とした後,水で加熱抽出して水エキスを得る.この水エキスを酢酸エチルおよびブタノールで抽出して,酢酸エチル画分,ブタノール画分および水画分を得た.これらの各画分にうち,逆転写酵素阻害活性を示した水画分をAmberliteIR-120B処理,ダイアイオンHP-20カラム,セファデックスLH-20カラム,MCIゲルCHP-20Pカラム,逆相高速液体クロマト,プレパラティブTLCを組み合わせて分離を行い,15種の化合物を単離した.15EA03:得られた各化合物について,マススペクトル,赤外吸収スペクトル,紫外吸収スペクトル,核磁気共鳴スペクトル(^1H,^<13>C,二次元スペクトル)を測定し,それらのデータに基づいて各成分の構造を決定した.また,逆転写酵素にAMV(avian myeloblastosis virus)由来の酵素,基質に^3Hラベルした2′-deoxythymidine 5′-triphosphateおよびpoly(rA)-p(dT)_<12-18>を用い,取り込まれた^3Hの放射活性を測定するアッセイ系で各成分の阻害活性を測定した. その結果,新規2量体リグナン6種,単量体リグナン3種の構造を明らかにした.これらの中で,2量体リグナンが弱いながら逆転写酵素阻害活性を示した.
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