Research Abstract |
受容体型PTPaseであるヒトLCA,LAR(リンパ球共通抗原関連蛋白質),HPTPβの酵素部分のcDNAをプラスミドpTHのT7プロモーターの下流にクローニングし、PTDaseのC末端にヒスチジン6個のTagを持つ組換え体LCA,LAR,HPTPβの大腸菌での大量調製を行った。Ni-NTA-resinによる一段階での精製後、リン酸化合成ペプチドを基質とした脱リン酸反応により酵素反応が観察され、現在、酵素活性測定法の確立の為、条件検討を行っている。一方、LCAの酵素部分のN末端側にGSTをフュージョンさせた組換え体LCA蛋白質を作製し、本フュージョン蛋白質と相互作用する蛋白質をOKT3刺激後のT細胞抽出液中に検索した。その結果、酵素活性中心のシステインをセリンに換えた組換え体酵素を用いることで変性条件で22kDa、非変性条件で34〜40kDaのリン酸化蛋白質が検出され、この蛋白質が抗CD3ζ鎖抗体CT-5と反応する事から、リン酸化CD3ζ鎖がLCA蛋白質と相互作用し、脱リン酸化反応の基質となることを見いだした。リン酸化CD3ζ鎖との相互作用はLAR蛋白質とのフュージョン蛋白質では観察されず、LCA中の酵素活性を示さないPTP様ドメインに基質特異性が担われているか、活性、不活性両ドメインによる認識が基質蛋白質との相互作用に必須であると考えられる。PTPaseによるチロシンキナーゼ以外のシグナル伝達分子の脱リン酸化を初めて示し、シグナル伝達におけるPTPaseの役割を明らかにした。さらに、特異的な基質、相互作用分子の検索のため組換え体酵素を用いたモノクローナル抗体の作製を行っている。
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