核酸-薬物複合体の立体構造に関する分光学的・理論的研究
Project/Area Number |
06780537
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
谷 誠治 山口大学, 理学部, 助手 (60197514)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | キナクリン / 合成ポリリボヌクレオチド / インターカレーション / ミニヘリックス / 円二色性(CD)分光法 / 半経験的分子軌道法 / 旋光強度 |
Research Abstract |
1.抗マラリア活性を示すアクリジン系色素であるキナクリンおよびその類似物と合成ポリリボヌクレオチド(二重鎖および三重鎖のRNA)との相互作用を吸収及び円二色性分光法により調べた。種々の二重鎖RNA-色素系の吸収およびCDスペクトルを解析した結果、二重鎖RNAとアクリジン環の2位または7位にアルコキシ基を持つ色素系では、このアルコキシ基の回転異性に起因する少なくとも2種類以上の結合種が存在するが、これらの結合種の熱力学的安定性は非常によく似ていた。アクリジン環の置換基や9位のカチオン性側鎖の長さは二重鎖RNAに対するみかけの結合親和性や複合体の立体構造には大きな影響を及ぼさないが、側鎖の末端に親水性アミノ基がある場合、疎水性アミノ基を持つ色素よりも結合親和性が非常に小さくなることが分かった。得られた実験結果は、キナクリンは二重鎖RNAの主溝側からのインターカレーションが有利であること、およびカチオン性側鎖のメチル基と塩基対間との相互作用の違いはキナクリンエナンチオマー(R(-)体とS(+)体)の結合親和性に影響を及ぼしていることを示唆している。 2.半経験的分子軌道法(AMI法)を用いて、ジヌクレオシドモノリン酸のミニヘリックス(ApA・UpUとIpI・CpC)とキナクリンエナンチオマーとの複合体の安定構造を計算した結果、キナクリンの9位のカチオン性側鎖にあるアミノ基は核酸塩基の水素結合アクセプターとの水素結合により核酸の主溝に埋もれている構造が安定であった。次に、得られたミニヘリックス-キナクリン複合体の安定構造における旋光強度の計算を行い、実験結果と比較検討した。その結果、キナクリン-二重鎖RNA複合体のCDの符号(370〜500nm付近)の実験結果をよく説明できる安定構造を推測することができた。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)