ロドプシン発色団の異なった環境における異性化反応:超高速分光による研究
Project/Area Number |
06780545
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神取 秀樹 京都大学, 理学部, 助手 (70202033)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 超高速分光 / フェムト秒 / 蛍光 / ロドプシン / レチナ-ル / 異性化反応 / アップコンバージョン / 蛋白質場 |
Research Abstract |
超短パルスを用いたフェムト秒分光によりこれまでレチナ-ル蛋白質における異性化反応がフェムト秒の時間領域で起こることが明らかになっている。すなわち、我々の眼の中でのシストランス異性化反応は、既知の光化学反応の中で最も高速で起こる現象なのである。本研究の目的は、超高速反応がなぜレチナ-ル蛋白質で起こっているのかを明らかにすることにあった。その方法として、私は発色団そのものの光反応を蛋白質環境以外の条件で測定することにより、発色団の反応場としての蛋白質を議論することを考えた。具体的な実験対象は、溶液中における発色団(レチナ-ルのプロトン化シッフ塩基)である。 そのため、理研フロンティアにおいてフェムト秒レーザーをもとにした超高速蛍光測定装置を作製した。これは、和周波混合と単一光子計数法を組み合わせることにより、高時間分解能、高感度の蛍光測定を実現する計測手段である。実際、この測定系を用いた実験結果から100fs以下の蛍光寿命の測定が可能であり、また10^<-6>のオーダーの量子収率の蛍光も実時間で観測可能であることが示された。上記の系を用いた発色団の溶液中における測定から、以下の知見が得られた:(1)レチナ-ル蛋白質における超高速異性化反応は、本質的に発色団そのものの性質であること、(2)励起状態からの緩和には、2成分以上の過程が存在すること、(3)蛋白質中における結果との比較から、蛋白質部分は速い緩和成分を増大させることにより、高い効率の異性化反応を実現していること。この実験結果は、1995年のアメリカ化学会誌に掲載の予定である。 尚、私が今回作製した測定装置は予想以上に生産的であったため、当初予定していた溶液中における反応だけではなく、ロドプシンアナログ、カロチノイド等の実験も行い、それらの一部は研究発表に示すように既に現著論文として発表している。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)