Research Abstract |
本研究の目標は,マウス神経系の初期発生の制御機構を遺伝子レベルで明らかにすることである.そのためにショウジョウバエで神経発生に関与していることが明らかになっているNotchやASC(acheate-scute)遺伝子のマウスホモローグのクローニングが今年度の計画であった. マウスにおいては,初期の神経発生は,7・5日目胚から始まるので,まず7.5日目胚のcDNAライブラリーを作成し,これまでに得ていたヒトのNotch相同遺伝子をプローブにスクリーニングを行った.その結果,複数のNotch相同遺伝子のクローニングに成功した.現在それらの解析を進行中であるが,その中に発ガン遺伝子の一つであるint-3遺伝子を見出すことに成功した.int-3については,乳ガンを引き起こすこと,一部分がNotchと相同性を示すことが知られているのみで,その全体構造や胚発生に於ける機能などはまだ明らかになっていなかった.本研究においてint-3のこれまでに得られていなかった遺伝子部分のクローニングに成功した結果,int-3は,Notchと相同性が高く,全体的な構造が極めて良く保存されていること,しかし,典型的なNotch相同遺伝子とは,多少異なっていることなどを明らかにすることができた.また,int-3が,マウス7.5日目胚において発現していることも明らかにすることができ,現在int-3と神経発生との関連を解析中である. またASCホモローグについては,MASH-1およびMASH-2のクローニングに成功したが,それ以外の新規のホモローグが得られなかったので,今後引続きクローニングを試みる予定である.
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