細胞認識分子BIG-1/BIG-2/F3/TAG-1の神経回路網形成における役割
Project/Area Number |
06780664
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
吉原 良浩 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20220717)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | BIG-1 / BIG-2 / TAG-1 / F3 / Brain / Neural Network / Axon / Development |
Research Abstract |
神経系の各発達段階におけるBIG-1/BIG-2/F3/TAG-1の発現分布の解析 これまでのF3及びTAG-1の発現分布に関しての報告は非常に断片的(発達の特定の時期に特定の領域を解析しただけ)であり、神経系発達過程全体でのこれら分子の局在性及びそこから推定される機能的役割は未だ明らかではなかった。そこで胎生期から成体にいたるまでの神経系の各発達段階におけるこれら4分子の発現分布を詳細に比較・解析した。各遺伝子に対するcRNAを用いてin situ hybridization法を行い、細胞レベルでのより詳細な分布を明らかにし、脳の各部位における神経回路網と4分子の発現とを対応づけることによってそれぞれの分子の神経回路網形成における機能を推定することができた。以下にこの研究によって得られた4分子の発現と神経回路網の対応の興味ある結果の一部を示す。 成体の海馬において、BIG-1は歯状回の顆粒細胞に、BIG-2はCA1領域の錘体細胞に、TAG-1はCA3領域の錘体細胞に著明な発現が観察された。また、F3はこれら海馬内のすべての領域の神経細胞に発現していた。海馬の神経回路網は非常によく研究されており、歯状回顆粒細胞→CA3錘体細胞→CA1錘体細胞へとシナプス結合をしており、神経伝達が行われることが知られている。本研究で得られた3分子(BIG-1、BIG-2、TAG-1)の発現パターンは海馬の機能的神経回路を担う3種の神経細胞と非常によく対応し、それぞれのタンパク質ともに各神経細胞の軸索上に発現するAxCAM(軸索性細胞接着分子)であることから、海馬神経回路網の形成、維持及び可塑性に機能している可能性が示唆される。 BIG-1とBIG-2が成体の小脳において、異なったプルキンエ細胞のサブセットに発現することを見い出した。BIG-1はlobule9及び10を除くほとんどすべてのプルキンエ細胞に発現していた。一方、BIG-2はlobule10及び9の一部におけるプルキンエ細胞にのみ選択的に発現していた。一般にlobule1-8のプルキンエ細胞の多くは小脳核へと投射し、lobule9及び10のプルキンエ細胞の多くは前底核へ投射し、それぞれが全く異なった機能を司ることが知られている。このように小脳の軸索投射システムにおいてもBIG-1とBIG-2がAxCAMとして機能する可能性が示唆された。 上述の2つのシステム以外にも、成体の他の脳部位における神経回路網(嗅球、視床など)、胎生期における運動ニューロンの投射、間脳におけるセグメントの形成などにも4つのAxCAM(BIG-1、BIG-2、TAG-1、F3)が機能している可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)