Project/Area Number |
06805068
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
反応・分離工学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 義人 東京大学, 工学部, 講師 (70213709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 清一郎 東京大学, 工学部, 教授 (10011107)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | ベンゼン / エキシマーレーザー / 酸素酸化反応 / 気相 / 超臨界相 |
Research Abstract |
芳香族炭化水素のモデル化合物としてベンゼンを選び、まず気相でのレーザー光誘起酸素酸化反応を試みた。光源となるエキシマーレーザー光の波長を193nm、248nmの2種類とし、ベンゼン/酸素/光吸収剤(亜酸化窒素又はオゾン)の混合系に光照射を行なったところ、目的とするフェノール等の含酸素化合物は生成せず、低級(C2〜C4)のオレフィン及びCOxの生成のみが観察された。また光吸収剤や酸素が存在しない系でも光吸収が起こり、やはり低級オレフィンが主生成物であった。これらの実験事実より、気相のレーザー光誘起反応では、レーザー強度が大きいために主にベンゼン自身の光分解が起こり、気相酸素は生成するフラグメントを二次的に酸化する役割を果たすことがわかった。 これに対し、超臨界二酸化炭素中にベンゼンと酸素を溶解し、水銀灯を照射する実験を行なったところ、酸化反応生成物としてヒドロキノン、キノン、フェノール等の含酸素化合物が観察された。この結果は以下のような超臨界流体特有の性質を利用したものであると説明することができる。 (1)ベンゼンの二酸化炭素への溶解度が超臨界状態で大きく上昇ため、均一系で反応を行うことが可能である。 (2)高密度流体中では衝突誘起効果によって酸素分子の光吸収率が増加し、活性酸素種を生成させることができ、基質や酸素濃度を自由に変化させることによって、ベンゼンの光解離を抑制しつつ、活性酸素種による酸化反応を有利に進めることができる。 (3)反応後に常圧に戻すと、生成する含酸素化合物は油相に残るため、有機溶媒を用いる場合に比べ分離が容易であり、抽出技術との組み合わせが期待できる。 ベンゼン等の難酸化性物質を超臨界二酸化炭素中で光酸化する試みは例がなく、上述の特徴に加え、室温でしかも安定な溶媒中で行えるという安全性の観点からも、将来的に有用な技術となりうる可能性が示された。
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